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東京高等裁判所 昭和63年(う)1406号 判決

主文

本件控訴を棄却する。

当審における訴訟費用は、全部被告人の負担とする。

理由

本件控訴の趣意は、弁護人江﨑正行が提出した控訴趣意書に記載されたとおりであるから、これを引用する。

〈中略〉

以上のほか、るる主張する所論について、原審において取り調べた証拠を精査、検討してみても、原判決には事実の誤認はなく、原判決が被告人の所為に刑法一七九条、一七七条前段を適用したのは正当であって、原判決に法令適用の誤りも存在しない。

以上によって、論旨はすべて理由がない。

なお、原審第五回公判調書(手続)の裁判長認印欄には、裁判長の認印がなく、また、合議体の他の裁判官の認印も存在しない。このことは、刑訴規則四六条一、二項に違反するものといわなければならないが、裁判所書記官Aの署名押印のある同調書によると、当該公判期日には裁判官Bが裁判長として審理を担当した旨の記載があり、記録によると、同裁判官は原審第一回公判期日から第六回公判期日の判決宣告に至るまで裁判長として審理を担当していたものと認められるばかりでなく、認印の不存在について異議の申立もなかったのであるから、右の違法は、いまだ判決に影響を及ぼすものではない。

よって、刑訴法三九六条、一八一条一項本文により、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官坂本武志 裁判官田村承三 裁判官泉山禎治)

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